DEIガイドライン
公立大学法人大阪 多様性、公正、包摂(DEI)の観点から性的マイノリティへの差別に対抗するためのガイドライン(略称:DEIガイドライン)
(2024年9月11日 OMU本部会議承認)
前文
近年、性的マイノリティの人権をめぐる訴訟が提起され、社会生活や制度上の差別的扱いを克服しようとする社会の動きを重視する法的判断が相次いでいる。不当な評価を受ける者に対する配慮の必要性を訴えるのみならず、権利擁護の必要性を裁判の場で実現しようとする動きは、学校教育や就業、雇用の場面での性的マイノリティへの差別、偏見の解消、性的指向・性自認の多様性に寛容な社会の実現のための人権啓発活動を背景としている。さらに、性的マイノリティの社会生活上の不利益を軽減し、安心して家族を形成し、あるいは子育てをする等、充実した社会生活を営めるよう支援するパートナーシップ制度やファミリーシップ制度の導入、ヘイトスピーチへの対応等の様々な取組みも、周縁化され、不可視化されてきたマイノリティに対する社会一般の受け止め方の変化の後押しをしている。性的指向・性自認による差別禁止法制を求める過程で、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現のために施策を策定し、実施する国及び地方公共団体の法的役割が明らかにされている。教育機関もまた、この動きを受けて、豊かな人間性と高い知性を備え、応用力や実践力に富む優れた人を育み、真理を探究する本来の役割を果たすことが期待されている。公立大学法人大阪は、多様な個人がその属性ゆえに不利益を受けないよう、また、ひとりひとりが尊重され、それぞれの状況に即して公正に扱われ、参加の機会が保障された教育、研究および労働の環境を整備し、性的指向・性自認に関する既存の指針を踏まえつつ、ジェンダー平等の実現を目指し、あらゆる場において人権尊重の理解を深めるよう努力する。その一歩を踏み出すために、多様性(ダイバーシティ)、対等・公正(エクイティ)の理念に基づき包摂的(インクルーシブ)な組織づくりの推進を目指すガイドラインをここに定める。
基本理念
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公立大学法人大阪は、人権を尊重する組織として、率先してジェンダー平等の実現を目指し、多様な個人がひとりひとり能力を発揮できるよう(ダイバーシティ)、それぞれの状況に即し、対等、公正に扱われ(エクイティ)、協働して活躍できる場への参加の機会を用意する(インクルージョン)。
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公立大学法人大阪は、ジェンダー平等の実現を目指し、性別、性的指向・性自認をはじめとした属性を理由とする差別、不利益な扱いをしないよう構成員、学生に啓発するとともに、構成員、学生がこれらの差別や不利益な扱いを受けないよう措置を講じる。
- 公立大学法人大阪は、差別、不利益を受けた者の声に耳を傾け、相談者の安全をはかりつつその意思を尊重し、解決、改善のために取り組む。
基本方針
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法令を遵守して、教育、研究および労働の場における性別、性的指向・性自認をはじめとした属性を理由とする差別の解消を推進し、社会的障壁の除去のために必要かつ合理的な配慮を行う。
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多様な個人を尊重し、互いに協働して能力が発揮できる多様性、公正、包摂(DEI)の理念につき理解を深めるための啓発、研修を行う。
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誰もが差別やハラスメント等の不利益を受けることのない教育、研究および労働の環境を整える。
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差別やハラスメント等、不利益を受けた者が利用できる窓口を設け、窓口利用者の意思を尊重して問題解決のための意思決定や選択を支える。
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アウティング(本人の同意なく性的指向・性自認に関する情報を第三者に暴露すること)につながらないよう個人情報を保護し、情報の取扱いについて本人の意思を十分に確認する。
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内外の専門機関や協力者との連携をはかり、必要に応じた情報の収集、整理、提供を行う。
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公立大学法人大阪の取組みに関する情報を内外に向けて積極的に発信し、法人の構成員、学生が差別、不利益な扱いを受けないよう要請する。